コーシャとハラルの違いって何？

弊社EC『Kosher Shop』で扱っているコーシャ認証商品、少しずつ認知度が高まってきています。

コーシャ認証を知らない方に「宗教戒律による認証」とひとことで説明すると、「ハラルと何が違うの？」と質問されます。

宗教が違うという点はもちろんですが、それ以外にも違いがあります。

コーシャ（Kosher）はユダヤ教の宗教戒律で、ハラル（HALAL）はイスラム教の宗教戒律です。

ポイントを何点かにしぼってご説明したいと思います。

コーシャ：ユダヤ教の戒律

ユダヤ教は、旧約聖書を聖書としています。

旧約聖書には、（創世記）（出エジプト記）（レビ記）（民数記）（申命記）とよばれる「モーセ五書」があります。

その中に禁忌食物（不浄なもの）に関する記述があり、それを基準にコーシャフードが定められています。

『レビ記』と『申命記』に、食べて良いものについて書かれています。

• 牛・羊・やぎ・雄じか・かもしか・こじか・野やぎ・くじか・おおじか・野羊などのヒヅメが分れたもので、反芻をするものは食べることができる。しかし、豚、らくだ、野うさぎ、岩だぬきは、食べてはならない。
• 水の中の生物のうち、ヒレと、ウロコがあるものは食べることができる。よって、エビやカニ、ナマズ、うなぎ等は食べることができない。
• 鳥は食べることができるが、はげわし、ひげはげわし、みさご、黒とび、はやぶさ、とびの類、 だちょう、夜たか、かもめ、たかの類、ふくろう、みみずく、むらさきばん、ペリカン、はげたか、う、こうのとり、さぎの類、やつがしら、こうもりは食べることができない。
• 羽があって４つ足で歩くもの（昆虫）は食べることができないが、跳ね足がある移住いなごの類、遍歴いなごの類、大いなごの類、小いなごの類は食べることができる。
• 肉球を使って歩くものは不浄である。犬や猫等。
• 地を這うもの（４つ足のもの）のうち、もぐら、ねずみ、とびねずみ、とげ尾とかげの類、やもり、大とかげ、とかげ、すなとかげ、カメレオンなどは食べることができない。
• ここまでに記した食べて良いもの以外の腹ばいのもの（蛇など）、四つ足で歩くもの（肉食動物等）、多くの足をもつもの（ムカデなど）、は食べてはならない。
• ヤギをヤギ乳で煮てはならない。

このように、細かく指定されています。

さらに、「野で裂き殺されたものの肉を食べてはならない」「自然に死んだものは食べてはならない」と食べられる肉の種類の他に処理についても記述があります。また、シェヒターと呼ばれる定められた屠殺方法で処理された肉以外は食べてはいけません。

タルムード（モーセの口伝律法）には、魚と肉を混ぜて食べないようにとされています。

記されていない、食物については基本的にはコーシャフードとなります。

ハラル：イスラム教の戒律

根拠となるのは、イスラム法です。

次の4つがイスラム法の法源です。

1. コーラン（聖典）
2. ハディース（預言者ムハンマドの言行録）とスンナ（預言者ムハンマドの言行・範例）
3. イジュマー（イスラム法に関するイスラム学者）
4. キヤース（類推）

コーランの第5章に食べられないものについて記述があります。

• 死肉
• 血
• 豚肉
• アッラー以外の名を唱え（屠殺）たもの
• 絞め殺されたもの
• 打ち殺されたもの
• 墜死したもの
• 角で突き殺されたもの
• 野獣が食い残したもの

ただし、ムスリムが止めをさしたものは食べることができます。

お酒に関して

ユダヤ教のコーシャでは、お酒に関する規定はありません。

しかし、イスラム教ではお酒は禁止されています。

イスラム教でお酒が禁止されるに至った経緯は次の通りです。

1. コーランの第16章67節にはお酒「酔わせるもの」の記述があり、「思考する民への徴がある」と酒は禁止されていませんでした。
2. コーランの第2章219節に酒と賭け矢についての記述があります。両方の益と害について書かれていますが、お酒を益ととらえる人と害ととらえる人の両方いました。お酒は禁止されていません。
3. アブドゥッラフマーン・ブン・アウフという人物が、ムハンマドの弟子たちを集めて酒をふるまいました。その後礼拝の時間が来たので、その中の1人に礼拝の先導をさせましたが、酔っていた為コーランを間違えて読み上げてしまいました。そのため、アッラーが「酔っている時には、礼拝をしてはならない（第4章43節）」と、礼拝時の飲酒を禁じました。しかし、礼拝以外の時間は禁止されていません。
4. イトバーン・ブン・マーリクという人物がムスリムたちを食事に招き、焼いたラクダの頭部をふるまいました。人々は食べ、酔うまで飲みました。ある人たちが自分の一族を誇る歌を歌って、他の信者たちを笑い者にしました。笑いものにされたうちの一人がラクダの顎の骨でサアド・ブン・アブー・ワッカースというムスリムの頭を叩いて、重傷を負わせてしまいました。
   そこでアッラーは『酒と賭け矢と石像と占い矢は不浄である。（第5章90-91節）』といいました。それに対し信者は「辞めました」といいました。ここでお酒が全面的に禁止されました。

まとめ

上記をまとめると次のようになります。